特定調停とは?制度の仕組みと特徴、制度ができた理由

特定調停は、自己破産や個人再生と同じ債務整理のひとつ。弁護士や司法書士を通さず手続きできます。
債務整理を考えている方なら目にしたことがあるかもしれませんが、特定調停で何ができるかよくわからないという方もいらっしゃると思います。そこで、特定調停でできることと、特定調停ができた理由をご紹介します。
債務整理をお考えの方は、ぜひ特定調停についてご確認ください。
特定調停でできることと手続きの特徴

特定調停でできることは将来利息のカットや返済期限の延長。元金の減額等はできません。将来利息をカットできる債務整理は個人再生がありますが、個人再生との違いは弁護士・司法書士費用がかかるかどうか。
特定調停はご自身で手続きできるため、個人再生のように弁護士に依頼しなくてもお手続きいただけます。
費用を最小限に抑えて債務整理したい方は、特定調停で利息をカットし、返済期間を延ばすことで生活を立て直すことができるかもしれません。
なぜ特定調停が生まれたのか?

特定調停は債務整理の中でも新しい手続きで、2001年に新設されました。借金を免除できる自己破産や、家を残しながら減額できる個人再生。弁護士に仲介してもらうことで将来利息をカットできる任意整理が主流だった中、費用を抑えて手続きできる債務整理を作ろう。と新設されたのが特定調停です。
特定調停にかかる費用相場

項目 | 金額(1社あたり) |
|---|
収入印紙 | 500円 |
切手代 | 500円(100円切手×4枚+10円切手×10枚) |
合計 | 1000円 |
特定調停にかかる費用は、収入印紙と切手代です。1社あたり1,000円程度で手続きでき、他の債務整理と比べるとかかる費用の桁が違います。自己破産にかかる費用は30〜100万円。個人再生は50〜90万円ほどかかることを考えると、大幅に費用を抑えられます。
また、特定調停の費用は利用する裁判所によって異なる場合があります。詳しくは債権者の管轄となる裁判所にご確認ください。
3社申立した場合の試算

項目 | 費用 |
|---|
収入印紙 | 1,500円(1社500円×3社) |
切手代 | 1,500円(1社500円×3社) |
合計 | 3,000円 |
特定調停で3社申立した場合、合計3,000円程度の費用がかかります。
目に見えないコスト

収入印紙と切手代のことだけを考えると1社あたり1,000円でお手続きいただけますが、特定調停はご自身で書類を作成し出廷するため、目に見えないコストがかかります。
平日休む日数→6〜9日
全体にかかる期間 4〜6ヶ月
裁判は土日に行えないため、平日の指定された日に出廷する必要があります。どうしても都合がつかない場合は相談して調整できますが、土日は選べないのでご注意ください。
また、必要書類はご自身で用意することになります。取り寄せる書類以外の作成は2〜3日で作成できるとされています。出廷や書類の取り寄せ、書類作成のことを考えると3,000円以上のコストがかかると言えるかもしれません。
法テラスを利用できるなら任意整理の方が良いことも

書類作成に抵抗がない方なら問題ないかもしれませんが、不安な場合は法テラス・弁護士事務所の分割払いを活用するのもひとつ。法テラスや弁護士を利用する場合は任意整理も視野に入れるのが一般的です。
収入基準内なら法テラスを利用でき、月々の支払いは5,000円〜10,000円程度。弁護士事務所の分割払いであれば3〜12回程度に分割して解決費を支払います。
特定調停のために用意した書類に不備があると不成立になることがあり、棄却された場合督促が再開されます。万が一に備えるのであれば、法の専門家に介入してもらうのが安全かもしれません。
メリット|特定調停する利点は?

費用を抑えられる
自分で申立できる
申立後は督促が止まる
将来利息をカットできる
法的効力がある
借金の原因に関係なく手続きできる
今後の生活に知識が活かせる
特定調停には上記のメリットがあります。督促を止め、今より余裕のある返済にしたい方は特定調停の利点をご確認ください。
費用を抑えられる

申立ての費用も、例えば、個人が申し立てる場合、業者1社につき500円程度の安価で済み、裁判所に来る回数も2回程度であるため、利用しやすい手続であるといえます。
引用元:裁判所
特定調停は裁判所が安価で済むというほど費用を抑えられます。他の債務整理は最低でも2万円以上かかることを思えば価格帯が全く違うので、とにかく費用をかけずに手続きしたい方におすすめです。
自分で申立できる

自己破産・個人再生・任意整理は弁護士または司法書士を通して手続きする債務整理ですが、特定調停はご自身で申立できます。そのため、依頼費を削減し、最小限の費用で手続き可能です。
申立後は督促が止まる

特定調停を申立てると、返済が遅延していた債権者からの督促が止まります。電話やメールで来る督促は精神的にも負担がかかるため、督促が止まるだけでも生活しやすくなることがあります。
将来利息をカットできる

特定調停に合意されると、基本的には将来利息がゼロになります。返済するのは元本のみになるので、今後の返済を少しでも少なくしたい場合に向いている手続きです。
借金の原因に関係なく手続きできる

ギャンブルや浪費が原因でできた借金は免責不許可事由により自己破産できません。しかし、特定調停は自己破産のようなルールがないため、どのような理由でできた借金でもお手続きいただけます。
ギャンブルや浪費でできた借入を債務整理したい方も安心してご利用ください。
今後の生活に知識が活かせる

特定調停は自分で手続きするため、今後のお金の使い方を学びながら債務整理できます。他の債務整理は弁護士や司法書士が間に入るため、手続きの大変さが身に染みず、同じように借金を作ってしまう可能性があります。
その点自分で手続きする特定調停は誰かにお任せできない分、「二度と同じことが起きないようにしよう」と気持ちを新たに生活することができます。
デメリット|特定調停のリスクは?

将来利息をカットできるなどのメリットがある特定調停ですが、デメリットもあります。リスクを踏まえたうえでご自身に適した債務整理かどうかを確認しましょう。
同時に過払い金請求できない

特定調停は過払い金請求ができません。過払い金とは、金利上限が引き下げられる前(2010年6月17日)に借金をしていた場合、現在の金利に直すと払いすぎている額を返済してもらうため、請求を出す手続きのこと。
初めての借入が2010年より前で過払い金請求が発生する場合、特定調停と別で手続きが必要になります。
自己破産・個人再生・任意整理といった他の債務整理で過払い金があった際は、返済の一部に充てることができるため、過払い金請求で追加手続きが発生することはありません。
そのため、過払い金請求がある方にとって特定調停は手続きが複雑になる可能性があります。
法的効力がある

債権者・債務者両者が特定調停に合意すると、「調停調書」という書類が作成されます。調停調書は確定判決と同じ効力があるため、万が一調書通りの返済ができず2回滞納すると、ただちに給与を差し押さえられる可能性があります。
返済が遅延した際の影響が大きいので、支払いが遅れないよう細心の注意を払って管理しましょう。
平日に出廷することになる

特定調停は簡易裁判所で裁判が行われますが、裁判は平日に開催されます。そのため、特定調停を利用するには平日都合をつけることになります。カレンダー通りの休みの方や、平日日中に都合をつけられない方は仕事に影響することも。
職場にバレないよう手続きしたくても休みが合わないこともあるため、仕事との兼ね合いも注意が必要です。
業者(債権者)が出廷しないことがある

消費者金融など貸し付けている業者のことを債権者と言いますが、特定調停を開始しても債権者の出廷は義務ではありません。そのため、債権者が出廷せず、手続きがスムーズに進まない場合があります。
引き直し計算を自分でも計算することに

引き直し計算とは、2010年以前に借金をしていた場合に発生する過払いを確認するための計算。
「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律」(平成18年法 律第115号)により,利息制限法の一部が改正されました。
引用元:法務省
上限29.2%だった金利上限は、2010年6月18日に上限20%に引き下げられました。そのため、上限が引き下げられる前に借りていた借金は、グレーゾーンと呼ばれる金利で請求されていたことも。そこで、払いすぎている金利を清算するために行われるのが引き直し計算です。
特定調停を行う際、引き直し計算は裁判所の調停委員会が行いますが、念のためご自身でも計算しておくのがおすすめです。万が一引き直し計算に漏れがあった場合本来より多く返済することになるので、ご自身で計算したものと調停委員会が計算した結果を照らすのが良いでしょう。
信用情報に事故登録される

特定調停に限った話ではありませんが、債務整理を行うと信用情報に事故登録され、クレカやローンを5年利用できなくなります。ご自身が本会員になっているクレジットカードは利用できませんが、家族カードやデビットカードなら使用可能。
事故登録が解除されるまでは家族カードやデビットカードをご活用ください。
企業ごとに申立が必要

複数社の借金を特定調停する場合、それぞれ申立が必要です。まとめて申立てることはできないので、2社3社と対象の借入がある方は、その分手続きや出廷が発生します。
1社でも手続きに費やす時間はかかるので、ご自身で対応できる範囲かどうかを考えたうえで特定調停されるのがおすすめです。
借金残高が高額な場合は不向き

特定調停は将来利息をカットできる債務整理です。残高が高額な場合、利息をなくすだけではあまり意味がないことも。残高が高額な場合は、元金を減らせる個人再生や自己破産を視野に入れるのも良いかもしれません。
業者の出廷拒否を防げない

特定調停を行うと裁判所から債権者(消費者金融など)に申立書が送付されます。しかし、申立書が届いたからと言って債権者が出廷するとは限りません。
債権者が出廷を拒否し続けると特定調停不成立になり、手続きが打ち切られることがあります。
特定調停するための条件と必要なもの

完済できそうにない借金を債務整理したい。そんな時に検討される特定調停。特定調停をお考えの方にご確認いただきたい、利用条件と必要なものをご紹介します。
条件|特定調停を利用できる人

借金やローンを返済できない人
継続的に安定した収入がある人
特定調停は、借金を返済できない見込みで安定した収入がある方が利用できます。
主たる債務者である事業者(法人、個人を問いません。)が、過大な債務を負い、既に発生している債務(既存債務)を弁済することができないこと又は近い将来において既存債務を弁済することができないことが確実と見込まれること(事業者(主たる債務者)が法人の場合は債務超過である場合又は近い将来において債務超過となることが確実と見込まれる場合も含みます。)
引用元:裁判所
収入がある方なら職業は問いません。正社員や公務員はもちろん、法人や個人事業主、パート・アルバイトでも利用可能。どなたでも利用条件に当てはまります。
必要なもの|自分で書類を用意する

特定調停申立書は、簡易裁判所の窓口でもらえます。または、裁判所のサイトにも掲載されているため、取りに行くのが難しい場合はご自身でコピーすることも可能。どちらかご都合の良い手段で所得してください。
また、財産の証明は預貯金通帳のコピーや財産目録で提示できます。借金返済が難しいことを証明するために必要なので、漏れがないよう書類を揃えてください。
消費者金融など、借入先が法人の場合は企業の本店所在地や代表者名が記載された、現在事項全部証明書または代表者事項証明書が必要です。どちらも法務局で所得できるので、最寄りの法務局にてお手続きいただけます。
どんな人に向いている?特定調停が適した方

借金100万円以下
過払い金がない
弁護士費用を払えず法テラスを利用できない
平日複数回休みを作れる
行政書類を作るのが得意
借入が1〜3社程度
特定調停が向いているのは、上記の方です。もし上記に当てはまらなかった場合も、他の債務整理で手続きできるケースもあるので、弁護士や司法書士の無料相談で適した手続きを検討するのも良いでしょう。
借金の残高が100万円以下

残高100万円以上の場合、特定調停では月々の支払いが多くなるため、個人再生や自己破産の方が適していることがあります。特定調停を行った場合の支払い期限は3〜5年。この期間に、利息をカットした元金の残りを分割返済することになります。
元金残高100万円なら月々の返済は以下。
3年返済→約28,000円 / 月
5年返済→約17,000円 / 月
元金残高300万円の場合、以下の支払いが発生します。
3年返済→約83,000円 / 月
5年返済→約50,000円 / 月
5年返済でも月50,000円の支払いが必要となると、生活が苦しくなる可能性があります。返済しながら生活することを考えると、残高が高額な方は元金を減額できる債務整理の方が向いているかもしれません。
過払い金がない

過払い金があって特定調停する場合、別途過払い金請求の手続きをすることになります。他の債務整理なら過払い金込みで同時に手続きを進められるため、手間を省くためにも過払い金がない方が特定調停に向いています。
弁護士費用を払えず法テラスを利用できない

特定調停は自分で書類を作成する代わりに、弁護士・司法書士費用が不要です。弁護士費用を用意できない方や法テラスの利用条件を満たしていない方は、特定調停がおすすめです。
平日複数回休みを作れる

特定調停を行うと平日裁判所に出廷することになります。そのため、仕事柄平日休みの方は日程調整しやすく、スムーズに手続きを進められます。
行政書類を作るのが得意

特定調停に必要なのは、行政書類です。一般的な書類より複雑なため、書類作成が得意な方が特定調停に向いています。反対に行政書類を作ったことがない方や、複雑な手続きを避けたい方は弁護士や司法書士を介し、任意整理や個人再生を検討するのが良いかもしれません。
借入が1〜3社程度

1社ずつ申立書を作成し、必要書類を揃えることになるため、特定調停が向いているのは借入先が1〜3社の場合。4社以上で将来利息をカットしたい方は、弁護士または司法書士に依頼し、任意整理されるのがおすすめです。
任意整理と似ている?特定調停との違い

特定調停と同じように将来利息をカットできる債務整理に「任意整理」という手続きがあります。では、特定調停と任意整理は何が違うのか。それぞれの特徴と違いをご紹介します。
弁護士や司法書士の有無

厳密には任意整理もご自身で手続きますが、債権者が申立に応じないケースが多いため、現実的に任意整理は弁護士・司法書士の介入が必要です。反対に弁護士や司法書士に依頼しなくても良いのが特定調停。任意整理と特定調停は、弁護士・司法書士の有無が異なります。
裁判所を通すかどうか

任意整理は基本的に裁判所を通しません。反対に特定調停は裁判所を通す債務整理。その分効力が強く、弁護士や司法書士を通さなくても申立が成立しやすい仕組みになっています。
費用の違い
手続きの種類 | 費用相場 |
|---|
任意整理 | 4〜10万円 / 1社 |
特定調停 | 1,000円程度 / 1社 |
特定調停は1社あたり1,000円程度。任意整理は1社あたり4〜10万円が相場です。弁護士や司法書士の介入も違うため、費用相場は大きな差があります。
費用を抑えるために特定調停を検討される方もいらっしゃいますが、その分手続きの手間がかかります。本当に不備なく書類を用意できるかお考えのうえで利用する手続きを決められるのが良いでしょう。
督促が止まる時期

任意整理は、依頼した弁護士または司法書士が受任通知を送ることで即日債権者からの督促が止まります。一方特定調停は申立後に督促がストップ。2種類の債務整理を比べると、任意整理の方が借金問題解決のために動き出してからすぐに督促が止まる仕組みです。
過払い金回収の可否

グレーゾーン金利の期間に借金をしていた場合、多く払いすぎている過払い金があることも。過払い金がある方が任意整理すると、今後の返済予定額から過払い金の分が差し引かれ、残りを返済することになります。
しかし、特定調停は過払い金請求と同時に手続きはできない。2種類の手続きを行うことになります。
滞納時のリスク

任意整理・特定調停ともに2回滞納すると、返済に影響があります。
任意整理→借金残高の一括請求がくる
特定調停→給与・財産を差し押さえられる
特定調停は裁判の判決を同じ効力を持つ調停調書を用いて手続きされます。そのため、調書に書かれた通りに返済できないと、給与や財産を差し押さえられることがあります。
滞納時のリスクが違うので、万が一の場合を考慮したうえで手続きをお選びください。
任意整理と特定調停のどちらが良いか?

任意整理と特定調停のどちらが良いかは、借金残高や借入時期によって異なります。どちらを選ぶべきか、ご自身の状況に合わせてご選択ください。
借金額と業者の数で決める

残高100万円以下で、業者の数が1〜3社なら特定調停。金額、業者数ともにそれ以上であれば任意整理がおすすめです。先述した通り、特定調停はご自身で書類を用意する手続きです。
たしかに債務整理の費用を抑えることはできますが、金額が多く、業者数が多いと手続きに時間がかかり、任意整理を弁護士や司法書士に依頼するより割高になってしまうことも。
また、債務状況が複雑で書類作成が困難な場合も同じです。万が一書類に不備があれば特定調停が通らないこともあるので、二度手間にならないためにも借金が複雑な場合は任意整理をお選びいただく方が安全でしょう。
借入時期で決める

2010年6月以前に借金歴がある方は、過払い金請求が発生することがあります。過払いがあった場合、任意整理は今後の返済に過払い金請求を充てられますが、特定調停は別。
特定調停とは別で過払い金請求の手続きを行うことになります。ただでさえ特定調停の手続きは行政書類の作成が大変なので、そこに追加で過払い金請求の手続きが加わると手続きに時間がかかるだけでなく、書類に不備が出る可能性も高くなります。
そのため、2010年6月以前に借金していた方は任意整理。それ以前の借金がない方は特定調停をお選びいただくのが良いかもしれません。
比較|3社の借入で比べる

項目 | 特定調停 | 任意整理 |
|---|
費用 | 約3,000円 | 12〜30万円 |
平日休む日数 | 6〜9日 | 0日 |
全体にかかる期間 | 4〜6ヶ月 | 3〜5ヶ月 |
過払い金 | 別途請求 | 同時回収 |
3社の借入を債務整理する場合、特定調停と任意整理では上記の違いがあります。費用も全く違いますが、手続きにかかる期間は任意整理の方が1ヶ月ほど短いです。
また、特定調停の場合に発生することがある過払い金請求の手続き。過払い金請求は交渉なら3〜6ヶ月。裁判の場合6ヶ月〜1年半かかります。費用は1社2〜3万円の着手金と回収額の20%が相場です。
自分で過払い金請求することもできますが、交渉が複雑なため、一般的には弁護士や司法書士に依頼して手続きされます。
弁護士費用が払えるかどうかで決めない

「特定調停なら弁護士費用がかからない」という理由で特定調停を選ぶのは危険です。過払い金請求があれば、弁護士や司法書士に相談することになりますし、複雑な行政書類を自分で作成するのは労力が必要になります。
費用のことだけで特定調停を行うと書類不備で成立しない可能性もあるため、選択は慎重に行いましょう。
特定調停の必要書類|申立に用意するもの

特定調停は自分で書類を用意することになります。特定調停を検討されいる方は、必要書類を確認したうえでお手続きください。また、万が一書類に不備があると特定調停不成立となり、手続きは打ち切られます。
手続きのために揃えた書類が無駄になってしまう可能性があるため、ひとつひとつ確認したうえで手続きするよう注意が必要です。
特定調停に必要なものは以下です。
申立書
整理対象の企業一覧
財産目録
家計収支表
借入経緯書
借入先との取引履歴
これらをご自身で用意することになります。財産目録は預貯金や車、不動産の有無を記載してください。財産目録の書き方は、国税庁の例を参考に作成されるのがおすすめです。
申立書はどこにある?

申立書は簡易裁判所の窓口、または裁判所のサイトからダウンロードできます。全国の簡易裁判所の場所はこちらからご確認ください。
申立書は2部必要です。同じものを2枚作成することになるので、まずは1枚作成し、もう2枚に複写するのが良いでしょう。
申立書の書き方がわからない時

特定調停の申立書は、以下項目を記載する欄があります。
書類作成日
ご自身の氏名・住所
特定調停したい企業や個人の氏名・住所
債務の種類
債権者との契約日
借入額
借金の残高
特定調停したい相手が企業の場合、会社の住所や代表者の氏名。本店の住所と支店の住所を書く欄があります。
行政書類は特殊な内容を記載するため、作成した書類が正しいか不安に感じることもあると思います。万が一書類に不備があれば特定調停不成立となり、申立が打ち切りになることも。
そのため、一度書類を作成し、作った書類が正しいかどうか簡易裁判所の窓口に確認しに行くのも良いかもしれません。書類確認を手間に感じるかもしれませんが、不成立になった新たに手続きするよりもはるかに時間を短縮できるはずです。
取引履歴の取り寄せ方

特定調停には、債権者との取引履歴を提出する必要があります。取引履歴は法的に開示義務があるため、対象となる企業に事情を説明すれば開示してもらえるでしょう。
そこで、業者タイプ別に開示までに必要な期間と費用をご紹介します。事前に問い合わせることで手続きがスムーズになるので、事前にご確認ください。
業者タイプ | 開示までの期間 | 手数料 |
|---|
大手消費者金融(アコム・プロミス・アイフル・レイクなど) | 1〜2週間 | 無料 |
クレカやローン等、信販系企業(楽天・エポス・セゾン・オリコなど) | 2〜4週間 | 無料または1,000円程度 |
銀行のカードローン | 3〜6週間 | 無料または数百円 |
債権回収会社(アイ・アール債権回収株式会社・ニッテレ債権回収株式会社・セゾン債権回収株式会社など) | 2〜4週間 | 無料 |
過去に利用していた完済済みの企業 | 1〜2ヶ月 | 1,000円〜2,000円 |
開示請求には、免許証やマイナンバーカードなどの身分証の他、印鑑や開示請求書が必要になります。企業によってルールが異なるため、対象となる会社に開示請求の方法をお問い合わせください。
流れと期間|特定調停の全体像と必要期間

特定調停はどのような流れでどれだけの期間をかけ、手続きされるのか。手続きの流れと必要な期間をご説明します。
特定調停の流れ

ステップ | 内容 | 期間の目安 |
|---|
①取引履歴を取り寄せる | 手続きしたい債権者に履歴を請求する | 1〜2ヶ月 |
②申立書の作成 | 利用している業者の一覧・財産目録・家計収支表を作る | 1〜2週間 |
③簡易裁判所に申立てる | 申立て数量+切手代を納付する | 1日 |
④第1回調停期日 | 申立人が出廷し、調停委員と打ち合わせする | 申立から1ヶ月後 |
⑤業者に出廷するよう連絡が行く | 業者が次回期日に出廷する予定(全ての債権者が出廷するとは限らない) | ー |
⑥個別調停期日 | 複数社手続きする場合は業者ごとに調停委員+当事者で話し合う | 業者ごとに1〜3回 |
⑦調停成立または裁判所の決定(17条決定) | 合意内容を調停調書に記載する | 申立から3〜6ヶ月 |
⑧計画通りに返済する | 通常3〜5年かけて完済する | 3〜5年 |
申立する裁判所は、原則として債権者のいるエリアを管轄する裁判所になります。話し合いによって別の簡易裁判所で行われることもあるため、実際に特定調停する際にご確認ください。
全体にかかる期間

申立から調停成立まで:3〜6ヶ月
完済まで含めた期間:3年半〜5年
書類を用意してから完済までは3年半〜5年かかります。手続きそのものは3〜6ヶ月で、その間2回出廷することになります。
申立から初めての調停まで

申立から第1回期日まで、約1ヶ月かかります。その間、以下を行い調停に備えましょう。
約1ヶ月の間、これらの準備を進めてください。申立までも手続きで大変だと思いますが、スムーズに特定調停するには申立成立まで気を抜かずに手続きすることが重要です。
調停で聞かれることや当日の服装と持ち物

裁判所に出廷するとなると、何を持って行けば良いのか。調停でどのようなことを聞かれるのか不安に感じますよね。そこで、調停で聞かれることと当日の服装や持ち物を解説します。事前に確認しておくことで、当日少しでもストレスをなくし、調停に挑めるはずです。
服装・持ち物

項目 | 推奨 |
|---|
服装 | スーツまたはオフィスカジュアル(ジャケットがあると良し) |
持ち物 | 申立書類のコピー・印鑑・身分証・メモ帳やノート・ペン |
到着時間 | 開始時刻15分前(受付し、早めに待機) |
第1回期日は、特定調停における初めての顔合わせです。心象が悪いと不成立になることもあるため、服装や持ち物、集合時間にも余裕を持ち、円滑に手続きが進むよう行動しましょう。
第1回期日の流れ

第1回期日は申立人だけが出廷します。債権者は参加せず、調停委員2名と申立人、計3名で行われます。ちなみに、所要時間は30〜60分程度です。
受付:特定調停の申立人であることを伝え、案内された場所で待機する
呼び出し:担当書記官が呼びにくる
調停室:調停委員2名(弁護士や元裁判官など)と対面する
聴取:借金の経緯や現在の収入、月々の希望返済額について質問される
助言:調停委員から合意できそうな条件を提示される
次回日程調整:債権者を呼ぶための第2回期日を決める
終了:30〜60分で終了。書類の控えを受け取る
第1回期日でよく聞かれる質問

質問内容 | 模範解答 |
|---|
借金の経緯は? | 時系列順に正直に答える(例:2020年に10万円。その後2024年に5万円・・・など) |
なぜ返済できなくなったのか? | 収入減少や医療費、生活費など、事実を述べる |
月いくらなら返済できるか | 家計収支表を見て、無理のない金額を提示する(無理をして滞納しない金額) |
整理対象から外す借入はあるか | 住宅ローンや車のローンを外したい場合、その旨を伝える |
過払い金の有無は確認したか? | 引き直し計算の結果を提示する。この時計算していない場合は、後日確認すると伝える |
第1回期日で聞かれることは、借金の原因や返済できなくなった理由。さらに月々返済できそうな金額などを聞かれます。この時注意したいのは、嘘をつかず正直に答えること。
万が一虚偽の申告があり、特定調停成立前にバレた場合、不成立となりここまで進めた手続きが無駄になってしまう可能性があります。
また、月々の返済額にもご注意ください。見栄を張って多めに金額を提示したり、早く完済したいからと余裕のない金額に設定すると、返済を滞納してしまうかもしれません。
特定調停後、返済を2回滞納すると残高を一括請求されるだけでなく、給与や財産を差し押さえられることも。少しでも楽に借金を返済するはずが、余計に生活を苦しめることになりかねません。必ず返済できる金額を提示してください。
NGな受け答え

払える金額を多く提示する
債権者のことを悪く言う
感情的になる
書類を紛失する
嘘はつかない。謙虚に対応する。この2つを守れば、基本的に不利になることはありません。初めて出廷する方は緊張することもあるでしょう。そんな時は一度深呼吸し、冷静になって対応されると良いですよ。
2回目以降の調停

2回目以降は債権者の代理人(弁護士や司法書士、会社の社員)が同席します。
調停委員が債権者と申立人の間に入って交渉する
債権者から分割回数は少なく、月々の返済額を増やしてほしい、などの条件を提示される
申立人はその場で条件をのむか、次回まで考えるか選べる
合意できればその場で調停調書が作成される
合意できない場合、3回期日や17条決定、不成立になる
2回目の調停は債権者の代理人が出廷しますが、債権者と申立人の間には必ず調停委員が入ります。直接揉めないよう、中立な立場で話し合いを進めてくれるのでご安心ください。
また、債権者が出廷しないケースもあります。この場合、裁判所が条件を提示し、合意となる17条決定。または不成立になるので、債権者が出廷するかどうかによってもその後の手続き、必要な期間が異なる場合があります。
借入別の傾向と特定調停の難易度

実は借入先により、特定調停が成立しやすいかどうかが変わります。ご自身が特定調停したい企業は手続きしやすい企業か、今一度ご確認ください。
業者別|特定調停の対応傾向

業者タイプ | 代表例 | 出廷率 | 和解傾向 |
|---|
大手消費者金融 | アコム・プロミス・レイク・アイフル・SMBCモビット | 高い | 柔軟(将来利息をゼロに。分割は60回/5年が通ることも) |
信販系企業 | 楽天・エポス・セゾン・オリコ・ジャックス | 中程度 | 概ね柔軟 / 遅延損害金は支払うケースも多い |
銀行のカードローン(保証会社) | アコム・SMBC系・楽天カード(保証) | 高い | 銀行から保証会社に移行後の交渉、一括払いを要求されることもある |
債権回収会社(サービサー) | ニッテレ債権回収・アビリオ債権回収 など | 低〜中程度 | 短期分割を主張してくることが多い。長期での返済は通らない可能性も |
中小消費者金融 | 知名度が高くない消費者金融 | 低い | 出廷しないことが多いため、17条決定や不成立になることも |
一部の業者 | 日本保証・福ほう など | 極めて低い | 原則拒否される。調停不成立で訴訟または自己破産に移行するケースもある |
このように業種により、調停への出廷率は異なります。債権者が出廷しないことには合意とならないため、不成立または裁判所の決定。もしくは訴訟などで解決となるケースもあります。
業者が出廷しないリスク

特定調停は弁護士を介入せず手続きしているため、申立ても債権者が対応しない場合があります。基本的に弁護士や司法書士が対応する任意整理と違い、債務者本人が申立てもスムーズに手続きできないことがある、というわけです。
特定調停は債権者が出廷しないと手続きできないため、以下手順で対処していきましょう。
第1回期日で調停委員に相談するー業者の対応経歴を確認する
書面での意思表明を求めるー業者に書面を提出してもらう
17条決定での救済を申し立てるー当事者が出廷しなくても裁判所が提案できる
それでも不成立なら任意整理や自己破産に切り替える
大手と中小企業の違い

業者 | 難易度 |
|---|
大手消費者金融・大手信販 | ★☆☆ 比較的容易 |
銀行系・保証会社 | ★★☆ やや難(一括返済主張あり) |
中小・債権回収会社 | ★★★ 難しい(出廷拒否も) |
日本保証等の特殊業者 | ★★★★ 不成立前提で別制度を検討する |
特定調停したい企業が大手のみの場合、比較的成立しやすい傾向があります。中小消費者金融や債権回収会社も対象となると不成立になることもあるため、任意整理など、他の債務整理に切り替えることもご検討ください。
合意されないケースと特定調停が否認された場合の代替え案

債権者が出廷しないと特定調停が合意されません。もし出廷せず合意にならなかった場合、または特定調停を否認された場合の代替え案をご紹介します。
特に、大手企業以外の債務を特定調停したい場合は、債権者が出廷しないなどで不成立になることが多いため、中小消費者金融や債権回収会社の債務を手続きしたい方はご確認ください。
裁判所が決定する場合

お金を貸した債権者と、利用者の債務者との意見が合致しない場合、代わりに裁判所が中間層を提案することがあります。これを17条決定と言います。ただし、裁判所が提案した額に債権者が異議を出すと裁判所の提案は通りません。
17条決定は必ず通るものでもないので、効力はそこまで強くありません。
(調停に代わる決定)
第十七条
裁判所は、調停委員会の調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のために必要な決定をすることができる。この決定においては、金銭の支払、物の引渡しその他の財産上の給付を命ずることができる。
引用元:民事調停法(e-Gov法令検索)
ただし、債権者によっては17条決定で合意となることもあるため、不成立になった場合もお手続きいただけることがあります。
17条決定になりやすい場面・なりにくい場面

出やすい | 出にくい |
|---|
債権者が出廷を拒否し続ける | 債権者が出廷し、具体的に反論している |
申立人の収入が逼迫しており、そのままでは返済が難しい | 申立人の収入が安定している |
借入経緯に同情の余地がある | ギャンブルや浪費が原因で借金ができてしまった |
裁判所が決定できる17条決定は、状況により通りやすいケースと通りにくいケースがあります。債権者が出廷を拒否し続けるなど、どうしても解決方法がない場合、やむを得ず裁判所が17条決定を提案する仕組みです。
滞納しそうになったら事前連絡を

調停成立後、返済が遅れそうになったらすぐに以下対応をしてください。
特定調停が合意した時に作成される調停証書は、裁判の判決と同じ効力があります。そのため、予定通り返済できないと財産を差し押さえられることも。返済だけでなく、今後の生活にも支障が出る可能性があるため、遅延しそうになったら早急に行動してください。
直前チェック|特定調停する前に全体を確認する

特定調停をスムーズに進められるよう、全体の流れを確認しておきましょう。事前に把握しておくだけで、いざとなった時に役立つはずです。
申立1〜2ヶ月前にすること

借入先の情報と借入額を全て洗い出す
取引履歴を全社から取り寄せる
引き直し計算をする
過払い金の有無を確認する
法テラスの利用条件を確認する
任意整理も視野に入れて弁護士の無料相談を活用する
まず初めにすることは、借入先の情報と金額を全てまとめること。そのうえで、借入先に取引履歴を出してもらいましょう。取引履歴は古いものの方が時間がかかります。早めに取り寄せておくことで、申立がスムーズになりますよ。
また、借入状況によっては特定調停以外の債務整理に切り替えた方が良いことがあります。もし弁護士に依頼した場合、法テラスは利用できるのか。任意整理した場合どのくらいの費用がかかりそうか。弁護士や司法書士の無料相談を活用し、事前に費用を確認しておきましょう。
また、司法書士に相談できるのは1社あたり140万円以下の借金です。140万円を超える借入がある方は弁護士にご相談ください。
申立1〜2週間前にすること

申立書類とは、以下のことです。
書類 | 部数 |
|---|
特定調停申立書 | 2部 |
借入先一覧 | 1部 |
財産目録 | 1部 |
家計収支表(過去5ヶ月分) | 1部 |
借入経緯書 | 1部 |
借入先の全部証明書または代表者事項証明書 | 1部 |
これらの持ち物は、各業者ごとに必要になります。漏れがないよう確認し、書類を用意してください。
申立直後〜第1回期日

第1回期日は、調停委員2名+申立人3名で行われます。債権者は出廷しませんが、借金した理由や、返済が難しくなった経緯を質問されるので、聞かれたことに答えられるよう事前に答えを考えておきましょう。
そこまで難しく考える必要はありませんが、間違って嘘を言ってしまったり、焦ってチグハグなことを答えないよう事前準備が重要です。
第1回期日後〜成立まで

調停委員に追加書類を依頼されたら書類を準備する
債権者に逆提案された際に備える
月々の支払い(弁済額)が本当に払えるか再計算する
不成立になった場合の代替え案を用意する
第1回期日で、調停委員から追加書類を依頼される場合があります。追加書類が必要になったら第2回期日に間に合うようご用意ください。
また、特定調停を申し立てても債権者によっては不成立になることがあります。万が一不成立になったらどうするか。特定調停以外の代替え案を考えておきましょう。
成立後

特定調停が成立したら、返済が遅れないようスケジュール管理を徹底してください。もし滞納しそうになったら、滞納する前に弁護士や司法書士に相談しましょう。
特定調停は2回滞納すると、給与差し押さえに発展することも。支払いが苦しくなるだけでなく、生活費の確保が難しくなることもあります。そのため、滞納する前に相談することが非常に重要です。
特定調停後にできなくなることと再スタートまで

特定調停を行うと、以下情報期間に事故登録され、クレカやローンが利用できなくなります。
※信販会社とは・・・オリコやジャックスなど、クレジットカードやローン、保証業務を行なっている企業のこと。
※代位弁済とは・・返済が遅れた時に保証会社が代わりに支払う仕組みのこと。
5年利用できなくなること

クレジットカードの利用や新規契約
住宅ローンや車のローン
スマホの分割払い(一括払いは可能)
一部の賃貸物件を契約すること
特定調停を行うと、完済から5年間はクレカの利用・新規契約ができません。その間はご家族が本会員で登録されているクレカの家族カードや、銀行から直接引き落とされるデビットカードで代用してください。
また、信販系保証会社を使っている賃貸物件は契約できなくなります。今お住まいの物件が対象だった場合、引越しが必要になることもあるかもしれません。
債務整理した際のブラックリストについては「債務整理後のブラックリスト期間は?信用情報の回復までを解説」で説明しています。ブラックリストについて詳しく知りたい方は合わせてご覧ください。
特定調停と他債務整理の違いは?

比較項目 | 特定調停 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
|---|
仲介者 | 簡易裁判所 | 弁護士・司法書士 | 弁護士 | 弁護士 |
減額の程度 | 将来利息カット | 将来利息カット | 元本を最大10分の1へ | 原則全額免除 |
費用 | 1社あたり1,000円程度 | 1社あたり2〜5万円 | 50〜85万円 | 30〜100万円 |
期間 | 3〜6ヶ月 | 3〜6ヶ月 | 6ヶ月〜1年 | 3〜6ヶ月(管財なら〜1年) |
出廷について | 必要(本人) | 不要 | 必要(数回) | 必要(1〜2回) |
過払い金 | 別途請求 | 同時回収 | 同時回収 | 同時回収 |
強制力 | あり(給与差し押さえもできる) | なし | あり | あり |
信用情報 | 約5年 | 約5年 | 約5〜7年 | 約5〜7年 |
官報掲載の有無 | なし | なし | あり | あり |
費用を最も抑えられるのは特定調停。最も減額できるのは自己破産です。また、出廷の必要もそれぞれ違うため、借入額や業者の数に合わせ、どの手続きで債務整理したいかお選びください。
あなたに合った債務整理は?

状況 | おすすめの手続き |
|---|
弁護士費用を用意できず、法テラスも利用できない。借金は100万円以内 | 特定調停 |
元本は返せそうだが、利息の支払いが厳しい | 任意整理 |
家は残したいが、元本も返済できそうにない | 個人再生 |
元本を返せる見込みが全くない | 自己破産 |
特定調停は、あくまで弁護士費用が払えない・法テラスも利用できない方でも利用できる債務整理。弁護士の分割払いや法テラスの制度を利用できる場合は、基本的に他の制度を活用するのが現実的です。
ご自身に合った手続きの選び方は「【比較表付き】任意整理・個人再生・自己破産 — 条件の違いを一覧で確認」をご確認ください。
よくある特定調停の失敗例と対処法

特定調停のよくある失敗例と対処法をご紹介します。いざとなった時対処法を理解していると、焦ることなくご対応いただけるはずです。
その①:債権者が調停期日に出廷しない

第2回期日は債権者も出廷することになっていますが、強制力はないため、債権者が出廷しないことがあります。出席されない限り、特定調停が合意されることはない。つまり、不成立になる可能性があります。
代替え案として、裁判所が決定する17条決定もありますが、17条決定に債権者が合意しなければ手続きは打ち切りになります。大前提として、ご自身が特定調停したい業者は出廷する企業かどうかを確認してから手続きされるのがおすすめです。
その②:自分でも引き直し計算を行う

過払い金がないか確認するために行う引き直し計算。特定調停の場合、調停委員が引き直し計算を行いますが、万が一のことがないようご自身でも計算されるのが良いでしょう。
引き直し計算したデータは、エクセルにまとめておけば、出廷時にも提出できますし、後で見返すことも可能です。
その③:調停成立後に滞納する

特定調停で最も致命的なのは滞納。2回滞納すると残高を一括請求されるだけでなく、給与を差し押さえられます。やむを得ず支払いが難しくなったら、滞納する前に弁護士にご相談ください。
その④:不向きなのに特定調停を選ぶ

4社以上から借入がある
借金が100万円を超えている
過払い金があるはず
上記の場合、特定調停をすると、他の債務整理より高くつく可能性があります。特定調停を申し立てる前に、どの債務整理が良さそうか弁護士の無料相談を活用し、事前に確認されるのが安全です。
その⑤:債権者に連絡せず申立てる

申立前に債権者に「特定調停を申し立てる」と報告しましょう。債権者にいきなり呼出状が届くと関係が悪化する場合があります。なるべくスムーズに解決するには、まず事前に連絡を。その後申し立てるようご注意ください。
その⑥:弁済額の計算を間違える

弁済額とは、債権者に月々返済する金額のこと。弁済額を多く見積もると、滞納のリスクが高まり、最悪の場合給与差し押さえになる可能性があります。「早く解決したい」という気持ちはわかりますが、必ず無理のない範囲で弁済額を設定してください。
収入は手取りの最低額で計算するのがおすすめです。計算した後、本当に問題ないかシミュレーションするのが良いかもしれません。
その⑦:浪費やギャンブルが原因なのに反省しない

特定調停は浪費やギャンブルが原因でも利用できますが、反省の色が見えないと不利になることがあります。調停委員も人。反省しているように見えないと、調停案が辛口になる可能性も。
自分で自分の首を絞めることになります。借入経緯書に利用してしまったこと。さらに、家計簿などで金銭管理しているなど記載しておくのも良いかもしれません。
その⑧:書類に不備がある

申立書に押印漏れ・記入漏れがあるとその場で差し戻されます。書類を提出するために休みをとって裁判所に出向いても無駄になってしまうため、必ず確認した書類を提出してください。
また、作成した書類は提出前に簡易裁判所の窓口で確認してもらうことも可能です。事前チェックしてから提出すれば、手続きをスムーズに進められるはずです。
その⑨:平日仕事を休めず出廷できない

特定調停の書類提出・出廷は土日に対応できません。平日に行うことになるため、仕事を休めるか確認しましょう。平日に休む日数は6日程度必要なので、事前に職場へ確認してから申し立てるのが確実です。
その⑩:保証人付きの借金を特定調停する

保証人付きの借金を特定調停すると、保証人に一括請求が届きます。保証人になった人に迷惑がかかるので、保証人付きの借金は整理対象から外すのが一般的です。
または、保証人とも相談のうえ、特定調停することもあります。その場合は、保証人も一緒に債務整理することになるかもしれませんので、くれぐれも事前連絡なしで特定調停しないよう注意しましょう。
債務整理についてさらに詳しく知りたい方へ

特定調停や債務整理についてさらに詳しく知りたい方は以下をご参考ください。ひとりで悩んでいても借金問題は解決できません。まずは弁護士の無料相談を活用するのもおすすめです。